風雨に常に晒されている屋根が破損すると、下地にまで雨水が侵入し雨漏りはもちろん大切な建物の柱や梁を痛める原因となります。そうなると建物全体の耐久性が大きく低下することも考えられることから定期的なメンテナンスが重要です。また屋根の重量は建物の耐震性に影響します。昔ながらの重い瓦を屋根に使用した建物は地震発生時に倒壊の可能性が高いことから、軽い瓦やその他軽量な屋根材への葺き替えをぜひご検討ください。
屋根の葺き替えとは、既存の屋根を取り除き屋根材と野地板を新しいものに取り替える工事です。建物本来のイメージを守り元の印象に近い屋根材から、ガラリと雰囲気を替える新しい屋根材まで、建物に合わせて最適な施工方法をご提案します。
近年頻発するゲリラ豪雨や突風、台風や地震といったいつ発生するか分からない自然災害。これらの災害時に建物へ大きなダメージを受ける前に、屋根の点検やメンテナンスの実施をお勧めします。
築年数が長い古い瓦屋根では、瓦自体の色あせやひび割れはもちろん、剥がれ落ちている漆喰も目立ちます。また古い瓦屋根では瓦下の防水に土を使用しており、瓦のひび割れなど放置するといずれ雨水が侵入して土が流失し雨漏りや棟が崩壊することにも繋がりかねません。
瓦自体は比較的長く使用できる屋根材ですが、瓦の並びや漆喰の塗り直しなど定期的なメンテナンスが必要となります。
また近年の瓦屋根は防水として下地に防水紙を布設していますが、防水紙の耐用年数がおおよそ20年ほどと言われています。このことからやはりメンテナンスは欠かせません。また耐用年数を経過していなくても、防水紙が破れてしまうと雨漏りが発生します。
近年では耐震性に優れた軽量な屋根材が採用され、瓦屋根の施工例は減ってきています。反対に瓦から別の軽量な屋根材への葺き替え工事を行う例は増加傾向にあります。とはいえ瓦屋根の雰囲気を残しつつ、屋根を軽くして耐震性を向上させたいという場合には従来の瓦と比較して10~30%ほど軽い軽量瓦や、陶器以外の材質で作られたさらに軽い瓦も存在します。これらの軽量瓦に葺き替えることで建物全体の雰囲気を損ねずに屋根の軽量化を図ることが可能です。
すでに雨漏りなどが進行して下地の痛みが激しい場合にも、軽量な屋根材への葺き替え工事が最適な場合があります。また建物の耐震性を向上させたい場合や、今後のメンテナスを楽にしたい場合にも、より軽量な屋根材への葺き替えをお勧めします。
瓦からの葺き替えに用いる屋根材として人気が高いのがガルバリウム鋼板です。ガルバリウム鋼板は強度が高く雪国の積雪にも耐えることが可能です。またガルバリウム鋼はアルミと亜鉛を混ぜた合金にめっきを施した鋼材で、亜鉛の犠牲防食(アルミより先に亜鉛が腐食する作用)によってアルミを守っており、トタンを比較した場合6倍ほどの耐久性を持っていると言われています。これらのことからガルバリウム鋼板は錆びに強く、メンテナンスも比較的少なく済む屋根材です。
屋根の葺き替え工事は、現状の屋根の状態によって最適な施工内容が変わってきます。
株式会社アックの診断士が現地を確認し、工法や屋根材をご提案します。
カバー工法は古い屋根をそのまま残し、上から防水紙を布設して新しい屋根を重ねるように設置する工法です。
既存の屋根を解体する工程を省けることから工期の短縮と費用を抑えることができます。とはいえ、下地となる古い屋根の痛みが激しい状態ではカバー工法では対応できないため。葺き替え工事が必要となる場合があります。現地の屋根を確認し、しっかり調査した上で採用できる工法をご提案します。
カバー工法では古い屋根の上からさらに屋根材を重ねるため、屋根の重量が増加します。そのため古い瓦屋根には施工できません。古いスレート屋根にはアスベスト(石綿)が含まれている可能性があり、撤去や処分に多額の費用がかかる場合もあるため、適切な時期にカバー工法を行うことをお勧めします。カバー工法には主にガルバリウム鋼などの金属屋根材を用いるため、しっかりと施工されると耐用年数も長く安心です。
築年数の経過した古い工場などの大型建築では、スレート屋根を使用している建物も多くあります。しかしスレート屋根を葺き替えようと考えると、多額の費用を要するうえに工場の操業を停止する必要があります。また古いスレート材にはアスベストが含まれており、屋根材の撤去や処分に手間と費用がかかってしまいます。工場などの大型建築では自ずとその規模から修繕工事へのハードルが高くなりがちです。そこでスレート屋根を葺き替えるのではなく、新たに金属屋根を重ねて葺くことで安全に短期の工事で施工が可能となります。
間接固定工法では既存の屋根材には手を加えず、新たに布設した鋼材を下地として金属屋根材を固定します。このことでアスベストを含むスレート屋根に加工を加える必要が無く、粉塵の発生もありません。
下地となる鋼材の設置が完了したら、クレーン等で屋根材を屋根上まで運び、適切に配置して並べていきます。
また屋根材を配置し並べる際には端部同士が重なるように設置します。このように屋根材を重ねて配置することで断面の強度が増します。
屋根材をすべて並べることを仮葺きと呼びます。仮葺きの際、棟際を立ち上げることで雨が入り込まないようにします。仮葺き後、全ての屋根材を下地へビス止めしていきます。
棟部分に棟包み板を取り付けカバーします。これでスレート屋根全体を金属屋根材を覆うことができます。
間接固定工法は既存の屋根材に穴あけ作業が必要無く、新たに鋼材で下地を作ることから、工事期間中もライン操業を止める必要が無いことが大きなメリットです。
また工場などの大規模建築では葺き替え工事を採用すると、古い屋根材など廃棄物が多く発生してしまいます。関節固定工法を採用することでそれら廃材の処分費用もかからず工期も短く完了します。
また、屋根材にガルバリウム鋼板を利用することで寿命も長くなり、屋根が二重になるので断熱性にも優れています。工場内の労働環境改善や空調費削減にも繋がる工法です。