建物の外壁ボードのつなぎ目や外壁とサッシの隙間などをシーリング材で埋める工事のことを言います。
建物の外壁にはタイル張りや金属サイディング材、窯業系サイディング材といった様々な種類があります。こういった外壁にはどの種類であっても、つなぎ目に目地と呼ばれる隙間があります。また外壁と、窓に使われているサッシ、さらにはサッシとガラスにも接合部に隙間ができるようになっています。どんな材質で作られた建物でも、季節ごとに気温や湿度の影響を受け膨張と収縮を繰り返しています。また地震や台風などで発生する振動で建物が揺れ、その際には多少なりとも歪みが発生しています。これら膨張・収縮や歪みを吸収するために外壁には目地(隙間)が設けられています。もし目地が無い建物があると、膨張、収縮、歪み、振動を上手く吸収できずに外壁同士がぶつかり合って、ヒビ等の破損の原因になってしまいます。このことから、目地は建物を建てる上では必ず設けなければならない必要不可欠な部分なのです。
とはいえ、目地が何の対策もせずそのままだと、外壁の内側に雨風が侵入してしまいます。下地に雨風が侵入すると建物の劣化が激しく進行してしまいます。そのため、目地としての役割を残したまま気密・防水性を確保するため柔軟な素材を充填して目地を塞ぐシーリング工事が必要となります。
動きの多い目地または隙間にシーリングを施すことにより、地震や台風などで建物が揺れたときにシーリング材が伸び縮みをし、雨水の浸入を防ぎ漏水から守ります。
工事会社によってシーリングとコーキング2種類の呼ばれ方がありますが、違いはあるのでしょうか?
シーリングとコーキング、それぞれの言葉は
シーリング:蓋をする、密閉する(Sealing)
コーキング:物を詰める(Caulking)
という意味になり呼び方は違えど、ほぼ同義語として区別なく扱われていています。施工会社や職人の世代によっては、シーリングのことをコーキングと呼ぶ場合があります。
シーリングの耐久年数は環境によって異なりますが一般的には約5年経過すると肉やせ・ひび割れ・剥がれなどの劣化が始まります。劣化が進むと防水性や伸縮性が発揮できなくなり、最終的には雨漏れや害へ機材のひび割れの原因となり建物全体の劣化に繋がります。
シーリングの寿命、つまり耐久性は施工方法が大きく左右します。施工不良の場合にはわずか2~3年でシーリング材が剥がれたり、切れたりといった不具合が発生する場合もあります。古い劣化したシーリング材を除去し、その後の下処理が適正・丁寧に行われていることが重要です。シーリングの劣化を確認するためには定期的な点検が欠かせません。
ひび割れ
剥がれ
切れ
外壁やサッシのシーリングから雨水が侵入すると、シロアリやカビの発生、ひどい場合には柱を腐らせる原因になります。また屋根のシーリング劣化は室内の雨漏りの主な原因です。このようにシーリングの寿命によるひび割れ、剥がれ、切れから発生する雨水の侵入は建物の劣化を大幅に早めてしまいます。
シーリングの劣化は建物へ雨水が侵入し、建物の資産価値を大きく下げる原因になります。
鉄骨・鉄筋コンクリート構造のビルやマンションの場合でも、窓サッシやドアはもちろんのこと、コンクリートのつなぎ目部分にもシーリングが施されています。とくに屋上部分は雨風に晒されやすく紫外線も多く浴びることから劣化が進みやすい箇所です。また鉄骨・鉄筋コンクリート構造の建物にはごく小さなひび割れ(クラック)が発生します。このクラックが建物自身の膨張・収縮や歪みによって徐々に大きなクラックへと進行していきます。既存のシーリングはもちろんのこと、こういったクラック部分にも防水処置を施す必要があります。
古くなった既存のシーリングを撤去し、新たにシーリングを充填する「打ち替え工法」と既存のシーリングの上からシーリングを充填し厚みを増す「増し打ち工法」があります。
基本的な考え方としては打ち替え工法を選択しますが、下記のような場合は増し打ち工法を選択します。
既存シーリングに適切な厚みを確保することが大事になります。
シーリング工事には主に二面接着と三面接着の2種類の工法があり、それぞれに適切な施工箇所があります。
二面接着
二面接着はその名のとおり、接着面が二面の工法です。目地底に対してハットジョイナーやボンドブレーカーと呼ばれるバックアップ材を詰め、その上からシーリング材を充填します。二面接着の特徴として、接着面が目地の左右二箇所であることから外壁が動いたときの追従性が高いことが挙げられます。そのため木造建築などの伸縮が大きい建物の外壁目地に用いられます。
三面接着
三面接着ではバックアップ材を用いず、目地に対して直接シーリング材を充填します。その名の通り目地の左右と目地底の三点で接着される工法です。三面接着は二面接着と比較して接着が強固であり、また目地左右どちらかの接着が切れたとしても下地まで水が侵入しづらい点がメリットとして挙げられます。反面三面で接着することから柔軟性には乏しいため、比較的伸縮や歪みの少ないコンクリートの建物、ビルやマンションの目地シーリング工事に用いられる工法です。
カッターナイフ等により既存のシーリングを撤去します。
この際、外壁側にシーリング材が残らないよう丁寧に削り落とすことが重要です。古いシーリング材が残っている上から、新たにシーリング材を充填すると大きく接着力が落ちてしまいます。そのためシーリング材の耐用年数が大幅に低下してしまう原因になります。
周辺をシーリングで汚さないようにマスキングテープにより養生します。
シーリング材の充填や、ヘラを使って余分なシーリング材を取り除いたり均す工程で、目地周辺の外壁にシーリング材が付着して汚れることを防ぐためマスキングテープを使って養生を行います。目地の周囲に沿って、まっすぐ丁寧にマスキングテープを貼ることで後の仕上がりに差が出ます。
シーリング材を接着させるために、プライマーを塗布します。
プライマーとは、シーリング材が外壁や下地にしっかりと接着されるように使用する下地処理剤です。外壁や下地の種類に応じて最適なプライマーがあり、選定には知識と経験を要します。
シーリング材を目地に充填します。
専用の充填機(コーキングガン)を使ってシーリング材を充填していきます。外壁との間に隙間ができたり、シーリング材が途中で切れたりしないよう均一に充填していく必要があります。
ヘラを使い余分なシーリング材を取り除くとともに両側の外壁材にしっかりと圧着するように抑え、表面を平滑にします。
マスキングテープを除去して完了になります。
最適なシーリング材 | 打ち増し工法:変成シリコン 打ち替え工法:変性シリコン系 |
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予防できる問題 | 建物の美観維持や雨漏り |
最適なシーリング材 | 打ち増し工法:ポリサルファイド系 打ち替え工法:変性シリコン系 |
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予防できる問題 | タイル剥離や雨漏り |
最適なシーリング材 | 打ち増し工法:ポリウレタン系 打ち替え工法:変性シリコン系 |
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予防できる問題 | ALCの割れや腐食、錆、雨漏りなど |
最適なシーリング材 | 打ち増し工法:変性シリコン系 打ち替え工法:変性シリコン系 |
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予防できる問題 | 金属パネルの腐食や錆、雨漏り |
最適なシーリング材 | 打ち増し工法:変性シリコン系 打ち替え工法:変性シリコン系 |
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予防できる問題 | コンクリートの腐食、錆や雨漏り |
最適なシーリング材 | 打ち増し工法:ポリウレタン系 打ち替え工法:変性シリコン系 |
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予防できる問題 | コンクリートの腐食、錆や雨漏り |
最適なシーリング材 | 打ち増し工法:シリコン系 打ち替え工法:シリコン系 |
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予防できる問題 | 美観の維持。腐食や雨漏り |
最適なシーリング材 | 打ち増し工法:シリコン系 打ち替え工法:シリコン系 |
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予防できる問題 | 美観の維持。腐食や雨漏り |