アックは、労働安全衛生法、新設塗装ブース関連法規や有機溶剤中毒予防規則など、しっかり理解・把握した上で、提案アドバイスをさせていただいております。時代に合わせた改変などもありますが、2021年段階での法規・規則関連の一部をご紹介します。
労働安全衛生法第88条には、「計画の届出」に関する規定があります。「危険若しくは有害な作業を必要とする機械」や「危険な場所において使用する物」「危険・健康障害を防止するための物」を設置・移転などする場合、労働基準監督署長への届出が、事業者の義務です。届出の様式は、厚生労働省のHPに掲載されています。
リスクアセスメントとは、事業場にある危険性や有害性の特定、リスクの見積り、リスク低減措置の決定といった一連の手順をいい、事業者は、その結果に基づいて適切な労働災害防止対策を講じる必要があります。リスクアセスメントに関する規定は、労働安全衛生法第28条第2項にあります。製造業・建設業の事業者に対して、リスクアセスメントやそれに関連した措置の実施を努力義務としています。
労働安全衛生法第57条では、危険物や有害物の取り扱い・表示義務について定めています。危険物には「爆発性の物」や「発火性の物」などが、有害物には健康被害が生じる可能性がある「化学物質」や「化学物質を含む製剤」が該当します。これらの危険物・有害物を取り扱う際は、容器や包装に「名称」や「人体に及ぼす作用」「貯蔵・取り扱い上の注意」などを記載しなければなりません。
定期自主検査とは、事業者が定期的に実施する検査で、労働安全衛生法第45条に規定があります。事業者は、ボイラーをはじめとする機械、乾燥設備・局所排気装置等の定期的な自主点検や、結果の記録・保管を行わなければいけません。対象となる機械については、労働安全衛生法施行令第15条で定められています。
有機溶剤中毒予防規則の対象となる有機溶剤業務は、有機溶剤中毒予防規則 第1条第1項第6号に12業務が規定されています。
有機溶剤中毒予防規則の対象となる有機溶剤業務は、屋内作業場等で実施される場合に限られます。屋内作業場等については有機溶剤中毒予防規則 第1条第2項に規定されています。
第1種有機溶剤、第2種有機溶剤を使用する場合は蒸気の発生源を密閉する設備、局所排気装置、プッシュプル型換気装置のいずれかを設ける必要があります。
第3種有機溶剤の場合はタンクの内部の吹きつけの作業のみ上記装置のいずれかが必要です。ちなみに吹きつけの作業でなければ全体換気装置でも構いません。
※表を右にスクロールして全体を |
屋内作業場等 | 保護マスクの要否 | |
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屋内作業場 | 通風の不十分な屋内作業場 (タンク等の内部ともいう) |
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第1種・第2種 (臨時・短時間作業を除く) |
密閉する設備 又は 局所排気装置 又は プッシュプル型換気装置 |
呼吸用保護具は不要 | |
第3種 (吹付け業務を除く) |
不要 | 密閉密閉する設備 又は 局所排気装置 又は プッシュプル型換気装置 |
呼吸用保護具は不要 |
又は全体換気設備でも可 | 呼吸用保護具を併用 |
事業者は局所排気装置の排風機については、当該局所排気装置に空気洗浄装置が設けられているときは、洗浄後の空気が通る位置に設けなければならない。但し、吸引された有機溶剤の蒸気等による爆発のおそれがなく、かつ、ファンの腐食のおそれがないときは、この限りでない。
2 事業者は、全体換気装置の送付機又は排風機についてはできるだけ有機溶剤の蒸気の発散源に近い位置に設けなければならない。
事業者は、局所排気装置、プッシュプル型換気装置、全体換気装置又は排気管等の排気口を直接外気に向かって開放しなければならない。
2 事業者は、空気洗浄装置を設けていない局所排気装置若しくはプッシュプル型換気装置又は排気管等の排気口の高さを屋根から1.5メートル以上としなければならない。ただし、当該排気口から排気される有機溶剤の濃度が厚生労働大臣が定める濃度に満たない場合は、この限りでない。
局所排気装置は次の表の上欄に掲げる型式に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる制御風速を出しえる能力を有するものでなければならない。
型式 | 制御風速(m/秒) | |
---|---|---|
囲い式フード | 0.4 | |
外付けフード | 側方吸引型 | 0.5 |
下方吸引型 | 0.5 | |
上方吸引型 | 1.0 | |
備考1.この表における制御風速は、局所排気装置のすべてのフードを開放した場合の制御風速をいう。 2.この表における制御風速は、フードの型式に応じて、それぞれ次に掲げる風速をいう。 イ 囲い式フードにあつては、フードの開口面における最小風速 ロ 外付け式フードにあつては、当該フードにより有機溶剤の蒸気を吸引しようとする範囲内における当該フードの開口面から最も離れた作業位置の風速 |
全体換気装置は、下表のように有機溶剤の種類と消費量に応じて、1分間の換気量の確保が決められており、これを遵守しなければなりません。
消費する有機溶剤等の区分 | 一分間当りの換気量 |
---|---|
第一種有機溶剤等 | Q=0.3W |
第二種有機溶剤等 | Q=0.04W |
第三種有機溶剤等 | Q=0.01W |
この表において、Q及びWは、それぞれ次の数値を表わすものとする。 Q 一分間当りの換気量(単位 立方メートル) w 作業時間一時間に消費する有機溶剤等の量(単位 グラム) |
下表のように許容消費量以下の有機溶剤を使用する場合には、適用除外を受けることができます。その場合には事業者は、労働基準監督署の認定を受ける必要があります。
消費する有機溶剤等の区分 | 有機溶剤等の許容消費量 | A=150最大(屋内最大) |
---|---|---|
第1種有機溶剤 | W = 1÷15×A | 10g/時間 |
第2種有機溶剤 | W = 2÷5×A | 60g/時間 |
第3種有機溶剤 | W = 3÷2×A | 225/時間 |
W:有機溶剤などの許容消費量(単位:グラム) A:作業上の気積(床から4mを超える高さのある空間を除く、単位は立方メートル)ただし、気積が150立方メートルを超える場合は、150立方メートルとする。 注意1.タンクなどの内部以外の屋内作業場では1時間当りの許容消費量 2.タンクなどの内部では1日当りの許容消費量 |
大気汚染に関して、国民の健康を保護するとともに、生活環境を保全することなどを目的に、工場・事業場からのばい煙や粉じんの排出規制、揮発性有機化合物(VOC)の排出抑制、有害大気汚染物質対策、自動車排出ガスに係る許容限度を定めています。大気汚染防止法では、工場や事業場(固定発生源)から排出したり飛散する大気汚染物質について、物質の種類ごと、施設の種類・規模ごとに排出基準等を定めており、大気汚染物質の排出者等はこの基準を守らなければなりません。人の生命や健康を害した場合は、事業者は無過失であっても損害を賠償する責任(無過失損害賠償責任)を負わなければなりません。都道府県知事には、大気汚染の状況を常時監視することが義務づけられています。
VOC排出削減に伴う大規模固定発生源の排気量10万m3/h以上の場合、排出基準が生じます。
(都道府県条例によるVOC規制制限についても確認が必要です)
生活環境を保全し、国民の健康の保護に資することを目的として、著しい騒音・振動を発生する施設を設置する工場又は事業場が規制対象となります。
機械プレスや送風機など、著しい騒音・振動を発生する施設であって政令で定める施設を設置する工場・事業場が規制対象となります。具体的には、都道府県知事(市の区域内の地域については、市長。以下「都道府県知事等」という。)が騒音・振動について規制する地域を指定するとともに、環境大臣が定める基準の範囲内において時間及び区域の区分ごとの規制基準を定め、市町村長が規制対象となる特定施設等に関し、必要に応じて改善勧告等を行う。
(7.5kw以上の送風機・空気圧縮機は、特定施設として規制対象になっています)
※特定施設に該当しなくても、条例に基づく工場認可等が必要な場合があります。
工場・事業場から公共用水域に排出される水の排出と地下に浸透する水の浸透を規制することや、生活排水対策の実施を推進することなどにより、公共用水域や地下水の水質の汚濁の防止を図り、それによって国民の健康を保護するとともに生活環境を保全します。工場・事業場から排出される汚水や廃液で人の健康に係る被害が生じた場合における事業者の損害賠償の責任について定めることにより、被害者の保護を図ります。
この法律は、制定以降、必要に応じて改正されてきています。 最近では、有害物質による地下水の汚染を未然に防止するため、有害物質を取り扱う施設・設備や作業における漏えいを防止するとともに、漏えいが生じたとしても地下への浸透を防止し地下水の汚染に至ることがないよう、有害物質の使用、貯蔵等を行う施設の設置者に対し、地下浸透防止のための構造、設備及び使用の方法に関する基準の遵守、定期点検及び結果の記録・保存の義務等の規定が設けられました。〔平成 24 年 6 月 1 日施行〕
危険物は取扱量及び貯蔵量により所轄消防署への届け出が必要です。
火災予防条例 地域により違いがあります。
個人住宅の場合のみ貯蔵・取扱量が指定数量の 2 分の1以上~指定数量未満
例)灯油・軽油 500L 以上~1,000L 未満